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一般社団法人 日本リテンション・マネジメント普及協会

設立趣旨書

 わが国では、人口減少と構造的な少子高齢化により、多くの業種、組織で採用難と人手不足が深刻化しています。同時に、転職者数の増加も人手不足の大きな要因となっています。人手不足が組織に及ぼす深刻な影響である人手不足倒産が、近年急増しています。同時に、社員の退職で人材が不足し、事業継続が難しくなり、倒産するという「従業員退職型」の人手不足倒産も増加しているのです。

 これまで高齢者、女性や外国人の就業の促進、ロボットやAIの導入による省力化等人手不足を解消していく努力がなされなかった訳ではありません。しかし、グローバルでみてもわが国の高齢者や女性の就業率は相対的に高い水準にあります。また、人が担ってきた仕事を全面的にロボット等に置き換えるまでには至っておらず、導入費用等相当のコストがかかる等の欠点も指摘されています。つまり、今後も進行する人手不足解消にはそれらの施策だけでは不十分なのです。

 そこで、それらの施策と並び注目されているのが、現在勤めている従業員の方々にできるだけ長く勤続し活躍してもらうという人材定着(リテンション)なのです。現在勤続している従業員の多くは、これまで研修等社内の能力開発プログラムを受けて能力を高め職務をこなしているとともに、組織の風土や文化をある程度理解または受容しているという大きな利点があります。さらに、業種横断的な調査結果によると、リテンションが向上したことを示す退職率の低さと企業業績との間には正の相関が認められているのです。

 もともとリテンションは、従業員を雇用している組織を主体とし、組織が行うマネジメントを問題とします。そのため、組織がリテンションのために行うマネジメントを、「リテンション・マネジメント」(retention management)と呼びます。さらに組織がリテンションの向上のため、多くの従業員に受入れられるようにマネジメントを工夫することは、採用も含む経営の改善につながります。また、その工夫が事例として普及することで、業界や社会全体にプラスの効果を与えると考えられます。働き方改革やその施策である長時間労働の削減がその好例といえます。そのため、この考え方が社会に受け入れられることが重要なのです。

 そのためにわたしたち一般社団法人日本リテンション・マネジメント普及協会(JRM: Japan Association for Retention Management Diffusion)は、リテンション・マネジメントの理念や実践に関心ある人々のネットワークを形成するハブ機能を担いながら、シンポジウム、セミナー、ホームページ、出版等の事業を行って、社会における理念の普及を促進する上で、さまざまな立場の方々が広く参加できるよう、法人格を取得することにしました。

 趣旨に賛同される方々のご理解とご支援をお願いするとともに、私たちのネットワークに参加いただけることを希望します。
                                

 

                                                     2025年3月27日
                                             代表理事 山本 寛

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