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リテンションに結びつく具体的な人事管理の例
(出典 山本寛研究室ホーム )

🔷社員の定着率を高める人事施策の例

~リテンション・マネジメントの実践方法~

🟦 1. 現実的職務予告(Realistic Job Preview)

 入社希望者に対して、実際の業務内容や職場環境を具体的かつ明確に伝えることです。

  • 入社後の仕事への「過度な期待」を防ぐ

  • 幻滅体験を抑え、早期離職の防止に効果あり

  • いわゆる「ワクチン効果(=悪い情報にも耐性がつく)」を期待

📌 事例:
電話交換手の採用映像を「現実的な内容」に変更したところ、退職率が低下したという報告があります。

🟦 2. 雇用の保障(Employment Security)

 社員に対して「長期雇用(終身雇用)」を約束することは、企業への信頼感や安心感につながります。

  • 解雇の不安が少なく、社員が安心して働ける

  • 教育訓練を通じた能力開発・キャリア形成が可能

  • 複数の国の調査でも「雇用の安定」はリテンションに有効と実証

🔑 経営トップによる「全社員への宣言」と、実際に守ることがポイントです。

🟦 3. 賃金の高さと配分(Compensation)

 賃金は、勤続年数や定着率に影響する重要な要素ですが、次の点に注意が必要です。

  • 単に「高い賃金」よりも「どのように配分するか」が重要

  • 勤続重視型か、業績重視型か、各社で戦略は異なる

  • 成果主義や経済環境の影響で一律の高賃金は難しい

📌 重要なのは、「質的な報酬戦略」の設計です。

🟦 4. 福利厚生(Employee Benefits)

 社員とその家族を支える賃金以外の制度も、リテンションに効果があります。

  • 年金、住宅補助など独自制度の価値は高い

  • 他社にはない制度があると、転職への抑止力になる

  • ストレス対策、カウンセリング、ハラスメント防止なども含まれる

📌 海外でも、福利厚生制度の充実が定着率向上に貢献しています。

✅まとめ:人事管理全体で支える「リテンション・マネジメント」

 リテンションは「特別な施策」ではなく、人事管理のあらゆる領域と連動して行うべきものです。

  • 採用(職務情報の開示)

  • 雇用(安心と信頼)

  • 報酬(賃金の戦略的設計)

  • 福利厚生(社員生活の支援) など

 これらを総合的に設計・実行することで、社員の定着と企業の成長が実現します。

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