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リテンション・マネジメントに関する著書
(出典 
山本寛研究室ホーム )

 本書で取り扱う人的資源管理とは、企業等の組織が経営上の資源である従業員をどのようにマネジメントしているか、そして従業員がいかに働きがいをもって働いているかなどの問題を扱います。これまで労務管理や人事管理とも呼ばれてきました。

 組織の経営資源には「ヒト、モノ、カネ、情報・・・」といわれるように、生産設備、有価証券や情報などがありますが、それらと並んで従業員は重要な経営資源です。もともと、天然資源に乏しいわが国において人の重要性は以前から言われ続けてきました。つまり、経営者、管理者を含む組織で働く人々やその予備軍である学生などの人々が、わが国の組織経営を理解しようとする場合、人的資源管理の理解は必須であるといえます。

 また近年、イノベーションやグローバル化の進展など、組織の経営をめぐる内外の環境変化には著しいものがあります。最近特に深刻な問題として挙げられるのが、構造的な少子高齢化による労働人口の減少です。これにともなう採用難や人材不足は、働き方改革の重要なポイントであり、働く人一人ひとりの生産性の向上という大きな課題を組織の人的資源管理に突き付けているといえます。

 また、以前から人的資源管理へ大きなインパクトを与えているのが、転職の増加を意味する雇用の流動化と正規社員以外の人々の増加等を意味する雇用の多様化です。本書では、こうした内外の環境変化にともなう人的資源管理の変化についても取り上げていきます。

 『人事労務担当者のためのリテンション・マネジメント-人材流出を防ぐ実践的アプローチ』 日本法令

 少子高齢化が進行しているわが国では、近年人手不足の傾向が顕著にみられます。他方、転職の一般化に伴い、現代は人材獲得競争の時代を迎えています。有能な高業績を挙げる人材、将来のコア人材の争奪戦が展開されているのです。

つまり、現代は高業績人材がいつでも他社に流出する可能性がある時代なのです。新規学校卒業者の採用が大手企業よりも困難な中堅、中小企業では特に問題といえるでしょう。

 さらに、中国など経済が急速に発展している国々では、わが国以上にこの傾向が顕著になっています。以上の状況から、優秀な人材にいかに長く自社にとどまって能力を発揮してもらうかという定着(リテンション)は、多くの国々の多くの組織にとって重要な問題なのです。

 本書では、社員のリテンションがうまくいくための人的資源管理であるリテンション・マネジメントを検討しました。部分的ですが、分析結果を示すと以下のようになります。

 第1に、評価・昇進の適切な実施や雇用の保障など、社員の組織や仕事に対するコミットメントを高めるような施策がリテンションを促進していました。さらに、人的資源管理は社員のキャリア発達、特に昇進の可能性を高めることでよりリテンションを促進することが明らかにされました。

加えて、以上の関係は社員の職務業績の高低に関わらずみられ、高業績者だけに限定したリテンション・マネジメントの実施は困難であることがわかりました。

 第2に、これまであまり検討されてこなかった、ワークライフバランスを向上させるような施策や非正規社員を重視するような施策が、正社員のリテンションを促進することが明らかになりました。

 第3に、多くの職場で仕事の基幹的な役割を占めるようになってきた非正規社員のリテンションについて検討しました。その結果、社員をできるだけ公平に処遇しようとする施策や職場内のコミュニケーションを促進させる施策がリテンションに寄与しており、正社員とは異なるマネジメントの必要性が示されました。

 第4に、退職(予定)者の個々の状況にできるだけ配慮した管理、つまり、退職後の生活についての配慮、十分なコミュニケーション、進路相談・援助等を行っているかがリテンションに強く寄与していました。退職するかどうかの最後の判断、いわば「最後の1マイル」に関係する退職管理をきめ細かに実施することの重要性が明らかになりました。

 わが国の今後の人的資源管理のあり方や従業員のリテンションに関心をお持ちの方は、是非以下をお読み下さい。なお、実証分析の統計数字などが読みにくいと思われる方は、「実証分析」と書かれている節を読み飛ばして下さい。

『人材定着のマネジメント-経営組織のリテンション研究』 中央経済社

なぜ、御社は若手が辞めるのか』 日経プレミアシリーズ 日経BPマーケティング

 上司との関係が良くなかったからなのか、仕事内容が合っていなかったためなのか、社員が辞める本音はなかなか聞き取ることはできません。多くの社員が円満に辞めたいと思い、本音については口を閉ざし、当たり障りのない理由しかもらさないからです。

 一方、深刻な人材不足が続き、社員の採用が難しい中、次から次に社員が辞めていくことは会社経営にとってダブルパンチとなります。そのため、社員に少しでも長くとどまってもらいたいと考えている会社が大半ではないでしょうか。

 近年、多くの会社は長時間労働の抑制等働き方改革によって社員の働きやすさを追求しています。しかし、本格的な転職社会になり、誰にとっても転職が一般的になってきた現代、社員の定着(リテンション)がうまくいっている会社はそうそう多くありません。

 そこには、社員が働き続けるために会社に求める施策と会社が社員を辞めさせないため力を入れている施策の微妙なずれがあるからです。

本書は、多くの働く人からその本音を聞き取ることで、定着率を高めるために会社や上司に何が求められるのかを探りました。その中で、実際辞めた人と悩みつつも辞めないで踏みとどまった人とでは何が違っていたのか、そこに何が働いていたのかを分析しました。

 また、定着率の向上に成功している企業にはその秘訣を聞き取りました。このように本書はこれまでの単なる転職本とは違い、残って欲しい企業の視点も取り入れて企業と社員とがwin-winの関係になるために必要な条件や考え方にふれています。

具体的には、社員が入社後に感じるギャップを減らすにはどうすればよいか、コミュニケーションを活性化するにはどうすれば良いか、退職願を出されたときにどうすればよいかなど、ポイントごとに必要な施策を考えていきます。

 

 若手の本音がわからず悩んでいる管理職の方々、定着率悪化に歯止めがかからない会社の人事や経営者の皆様、さらには転職を考えている方、逆に今は転職を考えていない方など、多くの方々に読んでもらいたいと思います。

『なぜ、御社は若手が辞めるのか』 日経プレミアシリーズ 日経BPマーケティング

連鎖退職』日経プレミアシリーズ 日本経済新聞出版

 人材不足が深刻化する中、ある一人の社員の退職をきっかけに、社員が次々に退職していく「連鎖退職」が様々な組織でみられるようになってきました。採用難に連鎖退職が重なることは組織にさらなる大きな打撃を与えます。最悪、組織の存続さえ危ぶまれる事態にも発展しかねません。

 連鎖退職はどんなきっかけで起きるのか?、どんな業種や組織、どんな人に起こりやすいのか?、上司や人事など周囲の人はどう対処したらよいのか? こうした点を、実際連鎖退職状況に陥った組織の人事や社員の方々への聞き取りにより明らかにします。

 社員の退職に悩まれている管理職や人事の方々、同僚が次々に退職する中、ご自分のキャリアを考えている社員の方々など、多くの人々にお読み頂ければと思います。

『連鎖退職』日経プレミアシリーズ 日本経済新聞出版
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